Windows PowerShellとrobocopy、rsyncを使えば、NASの大量ファイル移行は安全かつ高速に完了します。本記事では3.8TBのファイル送信の実体験と公式仕様を根拠に、失敗と成功の実験結果を公表します。
新しいNASを購入したためデータをコピーしました。特に3.8TBなんて平気だろうと、エクスプローラーでコピー&貼り付けを行いました。
しかし、ファイル数と通信環境に罠がありました。26万ファイルの転送で停止し、半日を失いました。その記録と改善について記事にします。
結論:NASのデータ移行はrobocopyが安全で速い
最速かつ最も安全なのはrsync、Windowsのみならrobocopy、エクスプローラーコピーは大量データでは非推奨です。迷ったらこの選択で失敗しません。
- rsyncが使えるならrsyncが最速かつ最も安全
- Windowsのみで完結するのならばrobocopyが最適
- エクスプローラーのドラッグコピーは大量データではお勧めできない
rsyncもrobocopyも両コマンドともに「再開可能」「差分同期」「ログ取得可能」という特徴があり、途中停止しても最初からやり直す必要がありません。
rsyncが最速
NAS同士がrsync対応ならこれ一択です。PC不要かつ最速です。ただし、rsync対応の機種は、ストレージの大きさにもよりますが、総じて高い傾向にあります。
NAS間で直接差分転送されるため、転送量が最小化されます。電源を切って放置できる点も最大の利点です。
Windowsはrobocopyで完結
Windows環境のみならrobocopyが最適解です。
Microsoft公式の「Robust File Copy」で、再開、差分ファイル、ログ出力やマルチスレッドに対応しています。標準機能なので追加インストール不要です。
エクスプローラーは非推奨
大量ファイル移行では使用しない。コピー&ペーストは小さなファイルを少量のみ動かすだけにした方がいいです。
何らかの通信障害や原因不明な理由で途中停止することがあります。そうなると最初からやり直しになるため、時間を浪費します。
検証環境
再現性確保のため私の実環境を公開します。
- OS:Windows 11
- Windows PowerShell 5.1
- 接続:Wi-Fi 5GHz
- 転送データ量:約26万ファイル、計3.8TB
- 旧NASのIP:192.168.1.10(仮)
- 新NASのIP:192.168.1.20(仮)
※有線LANが推奨されていますが、今回は自宅の事情でWi-Fi 5GHz接続です。それでも今回の実験では問題無く完走することができました。
robocopy実行手順
robocopyの背景技術と公式仕様を説明します。robocopyはMicrosoft公式ドキュメントで「Robust File Copy」と定義されているWindows標準コマンドです。
家庭環境から業務まで幅広く使うことのできる便利なコマンドです。ディレクトリツリー全体のコピー、再試行、再開、ログ出力を備えた万能型ファイル転送ツールです。
特に次の機能については多くの人が恩恵を受けていると思います。
- 中断再開機能
- 差分コピー
- マルチスレッド転送
- アクセス権保持
このような特徴を備えています。コピペの完全上位互換です。つまりWindows Vistaからコピペの時代は終わりを迎えていたのです。
robocopyの定型文
Windowsだけで完結する最も現実的なコピーの方法です。
IPアドレスと共有フォルダ名を自分の環境に合わせて変えることで、コピペで使うことができます。
robocopy "送るファイルのフルパス" "送る先の場所のフルパス" /E /Z /MT:8 /R:2 /W:2 /XO /FFT /TEE /LOG:copy.log
オプション解説
robocopyはたくさんのオプションがあります。今回はよく使うオプションについて説明します。
- /E:すべてのサブフォルダーをコピー
- /Z:再開可能にするモード
- /MT:8:8スレッド並列で処理。1~128まで指定できます
- /R /W:失敗時の再試行回数。数値を多くするととんでもないことに
- /XO:新しいファイルを上書きしない
- /FFT:NASの時刻差対策
- /LOG:ログ保存
画像を取り忘れましたが、10GBのダミーファイルを転送したところ、私の環境ではエクスプローラーの約4倍の速度で完了しました。
再開方法
同じコマンドを再実行するだけです。未完了分のみ自動転送されます。
rsyncの基本
rsyncはUnix系システムで広く利用される差分転送ツールです。変更されたブロックのみを転送するため転送量が最小化され、大容量環境で非常に高速な転送を実現しています。
多くのNAS製品(Synology DiskStation Manager、QNAP Systemsなど)が標準対応しています。どれも人気製品を出している会社であるため、rsyncに対応しているNASは多いでしょう。
- 差分ブロック同期
- 再開可能
- 圧縮転送
- NAS同士の直接コピー
このような特徴があります。NAS同士で直接コピーをするのでPCは不要です。設定を済ませたら電源を落としても構わない点が大きなメリットです。
基本コマンド
私の環境ではrsyncに対応していないので、公式から引っ張ってきました。
rsync -avh --progress /volume1/data/ user@192.168.1.20:/volume2/data/
- PC不要
- 長時間放置可能
- 転送速度最速
- 安定性が非常に高い
rsyncが標準になれば他のNAS間の転送方法はいらなくなるかもしれません。両方のNASがrsyncに対応しているのならば完全な最適解です。
転送方法の比較
用途に応じて最適解を選べるよう整理しました。
| 方式 | 速度 | 安定性 | PC必要 | 対象 |
| rsync | 最速 | 非常に高い | 不要 | 対応NAS利用者 |
| robocopy | 高速 | 高い | 必要 | Windows利用者 |
| エクスプローラー | 遅い | 低い | 必要 | 少量のみ |
実体験レビュー
実際に移行したときに、最初からrobocopyを使うべきだったと後悔しました。
エクスプローラーでのコピー&ペーストは約1万ファイルで停止。再開不能。半日が消えました。
PowerShell 5.1でrobocopyに切り替えたところ3.8TB約26万ファイルを完走。ログも残り安心感がまったく違いました。最初から手抜きをせずに専用コマンドを使うべきでした。
FAQ
- Q途中で停止した場合の復旧方法は?
- A
robocopyは/Zオプション、rsyncは再実行するだけで自動的に続きから再開されます。最初からやり直す必要はありません。
- Q大量ファイルで速度が極端に遅い場合のチェックポイントは?
- A
有線接続か確認、/MT値を増やす、NASのCPU負荷確認、ウイルス対策ソフト停止で改善することが多いです。
- Qアクセス権エラーが出たらどうしたらいいか?
- A
管理者権限でPowerShellを起動し、NASの共有権限をフルコントロールに設定します。認証情報を保存して再実行します。
まとめ
NASのデータ移行は、正しい方法を選ぶだけで安全性と速度が劇的に改善します。
rsyncまたはrobocopyを使うことが失敗しない唯一の近道です。大量ファイル環境では必ず専用コマンドを利用してください。
関連記事
更新履歴
- 2026年9月22日:サイト見直しに伴いタイトルを簡素化および間違いを訂正
- 2025年12月30日:初公開