デュアルディスプレイの色が違う・目が疲れる問題をDisplayCALで調整する方法

今まで使っていたEIZOのモニターに少し傷がついてしまいました。某ECサイトでDellの格安ディスプレイが売っていたため、あこがれのデュアルディスプレイの拡張モードとして運用しようと思いました。

確かに便利です。Full HDとWQHDということで作業領域がかなり違うため、ウィンドウを移動すると大きさがかなり変わってしまい驚きます。仕様用途の関係であまり不便は感じません。しかし、一つだけきついことがありました。

それは色味です。古いディスプレイの方が輝度が低く、やや黄色味がかかっていたため、長時間見ていると目がいたくなります。そこで、困りごとを解消するためにいくつか方法をためしてみました。

左が問題のEIZO EV2456、右がDell U2515Hこちらに寄せたい

結論:異なるモニターでも色味はかなり近づけられた

マルチディスプレイ環境では、解像度や画面の違いよりも、結構気になるのが2台のディスプレイの色味の違いです。だんだん目が疲れてきます。

私の環境では、EIZO FlexScan EV2456とDell U2515HをWindowsの拡張モードで使用しています。メーカーもモデルも販売時期も違うため、同じ白い画面を表示していても色の見え方が違い、特にEIZO側の黄色味が気になっていました。

最初は「同じディスプレイで統一しなかったのが原因だろうから仕方ない」と考えていました。しかし、「今あるものを、もっと長く楽しむ」ことが信条であるため、がんばることにしました。

結末から言えば、完全一致には至りませんでした。しかしEIZOの黄色味はかなり減り、2台を見比べたときの色の違いは明らかに小さくなりました。

計測結果はsRGBはDell U515Hが97.1%、EIZO EV2456は96.8%になりました。これが色の違いを大きく改善させた結果です。

最終的にここまで色味を追い込むことができました。

検証環境:DellとEIZOをWindowsの拡張モードで使用

今回使用したのは年代もメーカーも異なる2台の液晶ディスプレイです。

項目Dell U2515HEIZO EV2456
メーカーDellEIZO
シリーズUltraSharpFlexScan
画面サイズ25インチ24.1インチ
解像度2560 x 14401920 x 1200
接続方法DisplayPortDisplayPort
使用方法Windows拡張モードWindows拡張モード
sRGB coverage97.1%96.8%

Dell U2515Hは2560 x 1440、EIZO EV2456は1920 x 1200、それぞれが推奨とされています。解像度の違いによるウィンドウの大きさが変わることはあまり問題ではありません。

実際に使っていてとても気になったのは、画面を左右に移動したときに色が変わって見えることでした。

キャリブレーションに使用した条件

2台を比較するため、測色センサーをつかって個別にキャリブレーションしました。

基本的な設定値は次のようにしました。

  • 白色点:D65 / 6500K
  • ガンマ:2.2
  • 輝度:目測で無理なく合わせました
  • キャリブレーション・プロファイリング:DisplayCAL
  • 測定センサー:datacolor Spyder 4 Elite(2012年頃発売)

DisplayCALはArgyllCMSをベースに、測定、キャリブレーション、ICCプロファイル作成、複数ディスプレイへの複数ディスプレイへの対応など行えるツールです。

まだダウンロードできたことには驚きましたが、Argyll_V2.3.1_win64_exeがMissingだったのは誤算でした。GitHubで非公式ですがArgyllの開発が続いていました。Argyll_V3.1.0_win64_exe.zip(https://github.com/CursedHardware/argyllcms-unofficial-mirror/releases)が最新で、Windows 11でも動かすことができました。

測定センサーはdatacolor Spyder 4 Elite。2015年くらいに一眼レフにはまっていたころに買ってしまったものです。あまり使い方と効果がわからず、10年の時を経て使うことになりました。

ちなみにキャリブレーションには45分以上かかります。測定センサーがうまく画面に密着できない場合はマスキングテープなどで固定する荒業もあります。

一度目のキャリブレーション。1時間近くくっつけていたため腕がきつかったです。

実体験:マルチディスプレイは色の違いが気になる

マルチディスプレイとして2枚ディスプレイを使う場合、一般的には「同じ解像度にしたほうがいい」「画面サイズを揃えたほうがいい」といわれます。

私も2台のサイズや解像度が違うことは最初から分かっていました。しかし実際に使い始めると、そこはそれほど問題ではありませんでした。

同じ白なのに色が違って見えてしまう

一番気になったのが、白の色味でした。

テキストエディタを移動したり、両方に白色ベースのWebページを広げると、明らかに色が違って見えました。これが意外と長時間の作業にだんだんと目にダメージを与えてきます。

特にEIZO側の黄色味が気になりました。

片方の画面で作業をしながらもう片方の画面をチラ見すると、この年齢になると色の違いが目の焦点を合わせるのが厳しくなります。

同じモニターで統一すればよかった

実はEIZO EV2456で両画面をそろえるつもりでした。しかし、なぜか某ECサイトでは新品で買ったときよりも整備済み品が高くなっており、妥協してしまいました。

マルチディスプレイを組むときに同じモデルで統一しなかったことを後悔しました。同じモニターを2枚使えば、この色問題はかなり小さくなるはずでした。

そこで「異なるモニターでも、キャリブレーションでどこまで色を近づけられるのだろうか」を実際に試すことにしました。

失敗:ICCプロファイルを作れば色は揃うはず

最初に考えたのがICCプロファイルです。

モニターごとにICCプロファイルを作ってWindowsに登録すれば、2枚の色もそろうだろうと楽観視していました。

そこで認識の違いがありました。

ICCプロファイルとキャリブレーションは同じではなかった

昔、とは言っても2010年頃からカメラに凝っていたため、キャリブレーションについてはがんばっていました。しかし、あまりよく分からずSpyder 4 Eliteを適当に使っているだけでした。

そこでよくよくしらべるとICCプロファイルとキャリブレーションは色に関わることではありますが、二つの間には大きな違いがありました。

  • ICCプロファイルは、ディスプレイがどのような色を表示するのかを記述するための情報
  • キャリブレーションは、ディスプレイを決めた目標に近づけるための調整

ディスプレイを目標の状態へキャリブレーションし、その状態をプロファイルで記述する役割分担になります。

つまりはICCプロファイルを作ることだけが「色合わせ」をすることができません。

2枚のモニターをそのものを共通の基準へ近づけるには、キャリブレーションまで行う必要があるということです。

目視で攻めてみる

モニターのOSD(モニター下の物理メニュー)から色温度やゲインを変更して、目視による色の調整も可能です。

かなり追い込むことはできますが、2枚の白を目視だけで正確に合わせるのは難しいです。それもEIZOでDellとで設定できる項目や幅が違うことにありました。

そこでDellとEIZOをそれぞれ測定センサーで測定し、同じ目標値を設定してキャリブレーションを行います。

そこで必要となるソフトウェアDisplayCALです。DisplayCALはマルチディスプレイ環境にも対応しており、拡張モードでは各ディスプレイを個別にプロファイルできます。

黄色味は減ったけれども、ジャックフロストの白が違う

なぜ同じ設定にしても2枚の色は完全一致しないのだろうか

「D65やガンマ2.2を同じにしたのに、なぜ完全に同じ色にならないのだろう?」

キャリブレーションで共通化できる部分とは

キャリブレーションも万能ではありません。

  • 白色点
  • ガンマ
  • 輝度
  • RGBバランス

これらの項目を目標値へ近づけることができます。これによって、何も調整していない状態よりも2枚の表示条件をそろえやすくなります。

しかし、モニターそのものが同じになるわけではありません。それはどうしようもないことでした。

他社製の他モデルのため、パネルや学区ライトの違いが残る

異なるメーカー、異なるモデルのディスプレイには、それぞれ固有の表示特性があります。EIZO以前のナナオを好んでいたのは、その表示特性が好きだったからです。

また、同じモデルでも経年劣化があります。それはパネル、バックライト、色域、コントラストそれらが異なる場合があります。

実際、EIZO EV2456の取扱説明書にも、「同じ画像でも複数のモニターではモニター固有の特性によって異なる色に見える場合がある」と記載されています。さらに、複数モニターの色合わせでは目視で追い込めとも書いてありました。

「完全一致できなかった」という結論は、キャリブレーションが失敗したという意味ではなく、異なるモニターを使う以上ある程度の差が残るのは当然というものでした。どれだけその差を近づけることができるかということが目標に変わりました。

解決:EIZO EV2456のsRGBモードで色域を近づける

ここからが本当の色の追い込みに入ります。

通常のキャリブレーションを行っても、まだ2枚の色味には違いがありました。そこでEIZO EV2456のOSD(筐体下物理ボタン)を確認しました。DELLではそこまで調整ができませんでした。

EIZO EV2456にはsRGBモードを使う

EIZO EV2456には6種類のカラーモードがあります。

  • User1
  • User2
  • sRGB
  • Paper
  • Movie
  • DICOM

このなかでは公式マニュアルでは、sRGBモードがデジタルカメラやプリンターなどsRGB対応機器と色の相性が最適だとありました。そこでsRGBモードでDisplayCALによるキャリブレーションを行いました。

測定結果

EIZO EV2456のsRGBDell U2515HのsRGB
96.8%97.1%

かなり近い数字にすることができました。ただし、注意したいことは数字が近いからといって「2台の色が完全に一致した」とは言えません。それは先述の経年劣化などがあるからです。

sRGBモードの内部処理について、今回の測定だけから細かい仕組みを知ることが難しいため避けます。

実際の結果:完全一致ではないけれど、十分納得の追い込み

最終的に一番重要となったことは、測定値そのものではありませんでした。数値は数値でした。やはり実際に画面を見たときに、知覚的に色が近いかということです。

キャリブレーション前は、EIZO側の黄色味が気になっていました。しかし、今までのことを行ったところ、確かに黄色味を減らすことに成功しました。

明らかに色がかわった、黄色味が減ったと言えます。

数値は完全一致していない

項目Dell U2515HEIZO EV2456
sRGB初期値97.1%(差1.7%)98.8%(差1.7%)
sRGB追い込み後96.8
最終状態97.1%(差0.3%)96.8%(差0.3%)
目視Dellを基準大幅に改善

数値は完全一致ではありません。しかし、今回の目的は測定値を完全に一致させ、同じ色にすることではありません。

「普段の作業で色の違いが気にならない状態にすること」

それが現実になったことで、とてもよい結果が得られたものと思います。

作業手順:2枚のモニターを基準へ近づける

今回の経験から、2枚のディスプレイで同じような環境を作る場合は次の順番で追い込んでいくと効率的だと思いました。

STEP 1:モニター側の設定の確認

キャリブレーションを始める前に、モニターのOSDを確認します。

  • sRGBモード
  • 色温度 6500K
  • ガンマ 2.2
  • RGBゲイン
  • 輝度調整

これらを2枚のモニターで同じになっているかを確かめる。

STEP 2:測色センサーで1台ずつ測定する

2枚を同時に適当に調整するといろいろとややこしくなります。そのためソフトウェアDisplayCALでそれぞれを選択して、それぞれのモニターごとに測定します。

その際はキャリブレーターを使う必要があります。今回はdatacolor Spyder4 Eliteを使いました。2012年発売の年季ものです。

拡張ディスプレイでは、それぞれの画面に個別のプロファイルを割り当てます。

STEP 3:目視での調整

キャリブレーションが終わったら、実際に使う画面や問題のある画面を見ながら近づけたいモニターへ近づくように少しずつOSDで調整します。

これで測定値が良くても、実際に違和感が残っている場合、違和感がないように近づけることができます。

キャリブレーション、プロファイリング、目視OSDでの調整。これで納得しました。

よくある質問(FAQ)

Q
解像度が違うモニターでも色合わせできますか?
A

できます。しかし完全一致は不可能です。今回も解像度が違う2枚です。

Q
ICCプロファイルを作れば色は揃いますか?
A

不十分です。ICCも測色センサーを使ったキャリブレーションとプロファイリングを組み合わせて色の一貫性を出すことができます。

Q
違うメーカーのモニターでも完全に同じ色になりますか?
A

完全一致は難しいです。パネルやバックライトや経年劣化などモニター固有の特性があるからです。

Q
sRGBモードは必ず使ったほうがいいですか?
A

必ずではありません。今回は同じ名前であるカラーモードがsRGBしかない上、EIZO EV2456のマニュアルではキャリブレーション時にはsRGBを推奨していたからです。

まとめ:完全一致ではなく、知覚的に妥協点を目指す

今回、Dell U2515HとEIZO EV2456という異なるメーカー・モデルのモニターを、Windowsの拡張モードで使いながら色合わせを行いました。

最初に問題になったのは、解像度や画面サイズではありません。色味の違いでした。

特にEIZO側の黄色味が気になり、2台の画面を行き来するたびに色の違いを感じていました。

そこで測色センサーとDisplayCALを使い、D65 / 6500K、ガンマ2.2を基準として2台を個別にキャリブレーションしました。

EV2456のsRGBモードを使用して測定したところ、98.6% → 96.8%へ変化しました。Dell U2515Hは97.1%だったため、最終的にはかなり近い値になりました。

もちろん、完全一致ではありません。しかし、実際に画面を見比べると、気になっていた黄色味がかなり減りました。

今回の経験から分かったのは、異なるモニターを使っているからといって、色の違いをそのまま我慢する必要はないということです。

同じモニターを2台揃えるのが最も簡単だということは間違いありません。しかし同じモデルのモニターでもどれだけ使われていたか、つまり経年劣化により違う結果が出てしまいます。

あくまで最終的なゴールは「測定値を完全一致させること」ではありません。

普段の作業で、2台の色の違いが気にならないこと。プロでない限り、ここを目標にするべきだと思います。

公式リファレンス

EIZO FlexScan EV2456 公式製品情報:
https://www.eizo.co.jp/products/lcd/ev2456/

EIZO FlexScan EV2456 取扱説明書:
https://www.eizo.co.jp/support/db/files/manuals/03V25977E2/UM-03V25977E2-JA.pdf

EIZO FlexScan EV2456 User’s Manual:
https://www.eizoglobal.com/support/db/files/manuals/03V25977E1/UM-03V25977E1-EN.pdf

DisplayCAL公式サイト:
https://displaycal.net/?utm_source=chatgpt.com

Argyll_V3.1.0_win64_exe(非公式):
https://github.com/CursedHardware/argyllcms-unofficial-mirror/releases

International Color Consortium:Display calibration:
https://www.color.org/displaycalibration/?utm_source=chatgpt.com

Dell U2515H User’s Guide:
https://downloads.dell.com/manuals/all-products/esuprt_display_projector/esuprt_display/dell-u2515h-monitor_user%27s%20guide_en-us.pdf?utm_source=chatgpt.com

更新履歴

  • 2026年8月24日

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