- ジャンク品の中からiPod shuffle 第1世代を発見
- macOS(64bit)ではiPodResetUtility(32bit)が動作しない
- Windowsならば互換モードがある
- .msiを開き、【iPodResetUtility.exe】を直接実行
- 無事復活、macOSでも認識される
ジャンク品の中から見つけたiPod shuffle 第1世代
先日、町を歩いていたとき、青い箱に雑然と入れられたジャンク品のガジェットが目に入りました。何気なく覗いてみると、100円とシールが貼られた「iPod shuffle 第1世代」がひっそりと放り込まれていました。
見た目もボロボロで汚くて、いかにも「私は動きません」と言っているように見えました。

iPod shuffle 第1世代は、私が人生で初めて手にしたMP3プレーヤーです。
当時、わずか1万円という手頃な価格で手に入るApple製品として、非常に魅力的な存在でした。しかも、Windowsでも使える音楽管理アプリiTunesもセットという優れものです。
シンプルなデザインとUSBスティック型の形状、そして「シャッフル再生専用」という大胆な仕様は、まさに未来を感じさせるガジェットでした。
そんな思い出の詰まったiPod shuffleを、このまま眠らせておくわけにはいきません。
迷うことなく購入し、再び命を吹き込むことにしました。
iPod shuffle(初代)の状態の確認
100円のジャンク品ならば何かしらの不具合を抱えていて当然だと思います。
できることなら復活させてあげたいので、少し調べてみました。
3.5mmイヤホンジャック | 不明(曲が入っていない?) |
通電 | 通電しました |
Macでの認識 | 認識しませんでした |
Winでの認識 | 認識しませんでした |
バッテリー表示 | 正常?に点灯しました |
このような感じで、問題なのは「PCで認識しない」ということだけでした。
よくわからないけれど、わかった気がします。
iPod shuffle 第1世代を工場出荷状態にリセットしてみる
まずはiPod shuffle 第1世代を再起動するために電源をOFFにして20秒待機。その後、再度電源を入れてみましたが、まったく反応がありませんでした。
ならば公式でリセットアプリか何かないか探してみました。

そこで、Apple公式からリセット用のツールが提供されていないか調べてみたところ、「iPod shuffle Reset Utility」というApple公式のリセットユーティリティを発見。
この「iPod shuffle Reset Utility」は、第1世代および第2世代のiPod shuffle専用の復元ツールです。
さっそくダウンロードして実行してみましたが、「インストールするソフトウェアが見つかりません」とエラーメッセージが表示されてしまいました。
調べた結果、このリセットユーティリティは32bitアプリケーションであることが判明。
現在のmacOS(2025年4月時点)は64bitアプリケーションのみ対応しているため、ユーティリティが動作しないという問題が発生しました。
システム要件には「Mac OS X 10.3.9以降」と記載されていますが、64bit以降のmacOS環境では非対応となります。
さらにmacOSは64bitです。仮想デスクトップでMojaveを入れて32bit環境にでもしない限り、絶対に32bitのアプリケーションを動かすことができないこともわかりました。
Macで復元できないなら、WindowsでiPod shuffleを初期化してみよう
iPod shuffle Reset UtilityにはWindows版も存在しています。
特にWindowsには「互換モード」があるため、完全に32bitソフトウェアが非対応となっているMac(64bit)よりも復元の成功率が高いと考えられます。

しかし残念ながら、互換モードを使用してもリセットユーティリティは正常に起動しませんでした。
どうやら、Reset Utilityは互換モードであっても自己解凍形式の実行に対応しておらず、インストールすら行えないようです。
.exeファイルを7-Zipで展開してiPod shuffleを復旧できるか試してみる
iPodResetUtilitySetup.exeを自己解凍せずに展開してみたところ、中にiPodResetUtility.msiファイルが含まれていることが分かりました。
.exeファイルの中身を確認するには、7-Zipなどのアーカイブ展開ソフトを使えばいいと思います。簡単に中身を確認できます。

自己解凍形式の.exeファイルに含まれる.msiファイルを抽出できれば、インストーラーを直接操作することが可能になります。
この方法により、iPod shuffleのリセットユーティリティを手動でインストール・実行することができるのではないかと推測しました。
.msiファイルから中身を取り出す方法
まずは、コマンドプロンプトから.msiファイルの内容を展開してみましょう。
一見するとコマンドが長くて難しそうに見えます。それはフルパスが2個も入っていることが原因です。作業自体は非常にシンプルです。ドラッグ&ドロップでもフルパスの打ち込みは対応できるので、コマンドプロンプトを触ったことがない方でも簡単に実行できます。
C:\Users\あなたの名前\start /wait msiexec.exe /a C:\Users\あなたの名前\保存元ディレクトリ\展開したいmsiインストーラ.msi targetdir="C:\Users\あなたの名前\展開先ディレクトリ"
実際に使うコマンドプロンプトでの.msi展開コマンドは、以下のようにシンプルです
start /wait msiexec.exe /a 【展開したいmsiインストーラのフルパス】 targetdir=”【展開先ディレクトリのフルパス】”
このコマンドを使えば、Windows環境で.msiインストーラを簡単に手動展開することができます。ソフトウェアの中身を確認したい場合や、個別にファイルを取り出したいときに便利な方法です。
コマンド | 内容 |
start /wait | msexecの実行が完了するまで待つ |
msexec.exe | Windows標準搭載のインストーラエンジンの実行ファイル |
/a | 管理インストールを指定する |
targetdir=” “ | 展開先のパスの指定する |
見た目は少しごちゃごちゃしていますが、実行しているコマンド自体は非常にシンプルです。詳しくはここに書いてあります。
コマンドプロンプトに以下のように入力し、.msiファイルの中身を任意のフォルダ、今回は【ダウンロード】内の【msi】ディレクトリに展開してみました。

今回はディレクトリ【ダウンロード】>【msi】にiPodResetUtility.msiを展開してみたいと思います。
start /wait msiexec.exe /a "C:\Users\私の名前\Downloads\iPodResetUtility.msi" targetdir="C:\Users\私の名前\Downloads\msi"
展開が完了すると、3つのフォルダ・ファイルが確認できました。
- Driver Files(フォルダ)
- ipodresetutility.resources(フォルダ)
- iPodResetUtility.exe(実行ファイル)
この時点で、iPod shuffle復活の兆しが見えてきたような気がします。まさに、当たりの.exeファイルの予感しかしません。
直接起動することでiPod Reset Utilityが正常に動作
展開されたiPodResetUtility.exeを互換モード(Windows XP SP2)および管理者権限で実行したところ、32bitアプリケーションの起動に成功しました。

64bitに完全移行した現行macOSでは32bitアプリケーションを動作させることはできません。
しかし、2025年4月現在、Windows11のコマンドプロンプトや互換モードを利用することで、まだ32bitアプリケーションを起動できることが確認できました。

きちんとiPod shuffle 第1世代のリセットも順調に進行し、リセットプロセスが完了したことを確認しました。
画質が荒いのはプリントスクリーンではなくスマホで撮ったからです。ご了承ください。
100円ジャンクのiPod shuffle 1stが見事に復活! macOS 15.3.2との同期も成功
32bitアプリケーションの起動に頭を悩ませましたが、無事にiPod shuffle 1stが復活しました。

私にとっては思い入れのあるiPod shuffle 1stが復活を遂げて、心から嬉しく感じています。左上に見えるiPod shuffle 1stのアイコンも、心なしか喜んでいるかのように見えてきます。

iPod shuffle 1stとmacOS 15.3.2の同期も無事完了し、今後は大切に使い続けていこうと心に決めました。macOSもまだiPod shuffle 1stのアイコンを残してくれているのを見ると、まだiPod shuffleを見捨てていないのだなと感慨深いものがあります。
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